ミカワオサ


ミカワオサを初めて採ったのは一昨年の始めだっただろうか。
その頃は崖を見つけるまでのスキルはなかったため、河川敷が採りやすいだろうと考え名古屋市内の河川敷を掘り返した。
ビギナーズラックというやつか、3時間ほど親を待たせた挙句、最後の最後で1匹のオスを出すことが出来た。
車に戻ると「こんな1匹のためにここまで来たのか」と言われ、返す言葉もなくただただ己の力不足を嘆いたのであった。

それから2年の月日が流れ、オサムシに関しては何かとレベルアップした(と思っている)私はミカワオサをリベンジすることを決めたのであった。

今回のポイントとしては
・崖から出す
・駅から歩きで行ける範囲
の二点である。

いつも通りGoogleマップで目星をつけ、ストリートビューで崖がありそうな環境かを確かめる(←見れるところは少ないが結構便利)。
もし確認せずに行って崖がなかったり針葉樹ばっかりだったら激萎えである。
車だったらすぐに移動できるが、電車だとそうはいかないため場所選びは慎重に行う必要がある。
そんなこんなで場所が決まったら次の日に出陣である。


2012年3月1日 愛知県某所

午前9時半、駅に降り立つ。
雨は止み、程よい湿度を保った暖かい朝である。

すぐさま昨日目星をつけたところまで歩き、どのような環境かを確かめる。
昨日しっかりを調べたおかげかすぐさま崖が見つかった。

見つかったのだが表面の土が...削られている。
ひと月ほど前に同業者が入っていたようだ...
そりゃあこれだけ環境が整っていたら来るよなあ...と考えつつ、掘り残したところを探す。
崖の方はしっかり掘られているが、岩の隙間に溜まった土などは手をつけられていない。
これは予想以上の苦戦である。
昼までに二桁出して、早めに切り上げたら河川敷にヒメマイマイを探しに行くんだ...などと浮気な考えをしていた罰があたったかと考えながら掘り進めること1時間...
溜まった土を退けると...


ポロっ

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おおおおおやっと出た!
手こずらせやがって

オサ掘りをしていると先に出るのは大概メスなのだが、今回は幸先よくオスが出た。
これで調子に乗って一気に10匹だなどと浮かれ気分になる。


が、現実はそう甘くない。
全然出ない、出るのは涙ばかりである。
こういうときは、先に掘った人も出なかったはずだと思うと少し気が楽になる。
これだけ崖を崩して1匹も出ずに肩を落としながら帰ったなと、そう考えながら掘るのだ。
ひたすら掘り、左手にパンを持ち食べながら掘り、するとようやくメスが出た。

続けざまにオスがこんにちは。

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待ってましたよ。

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ここまで3時間ほど掘って3匹である。
ウガタとの不毛な戦いを思い出す。
一日掘って1匹というあの罰ゲームを私は忘れない。

時間はおよそ13時、河川敷に場所替えするなら今が頃合いだろう。
あと30分掘って出なかったら移動しようと考え、崖を探す。

神も私を憐れんだか、ここでいい具合の崖を発見。
すぐさま掘る。
掘る!

1point!

2point!

3point!

我ながら見事な掘りであった。
3匹追加し、意気揚々と掘り進める。
既に電車などという考えはなく、掘る機械と化していた。

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この一帯は崖が多く、人目もないためガンガン行ける。
奇声を発しながら掘る私は我ながら異常であった。

しかしこの後、予想だにしない悲劇が襲う。


相棒を振り上げ、崖を削る。

クシャア...1hit!
(欠ける左翅)
Oh...
まぁ、仕方ない


ペキッ...2hit!
(抉れる腹部)
ないわー...


サクッ...3hit!
(もげる触角)
えっ...


グシャア...4hit!
(転がる腹部)
おいおい...


まさかの4hit。
さすがにこれにはゲンナリ。
ここまで当てるのは逆にすごいのではないか。
いや、全然嬉しくないのですが...

完全にやる気を失った私は冷静さを取り戻し、かなり慎重に掘りだし1匹を追加。
我に返った私を6時間分の疲労が一気に襲う。


...家に、帰ろう。



こうしてミカワオサ採集は幕を閉じた。

家に帰ってから数えるとオス8匹メス3匹で、完品は3匹しかいなかった。

言うまでもなく、その晩私は枕を濡らしたのである。
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