思い出話とカバマダラ変異個体

 随分と前の話です。

 僕は幼稚園ぐらいから虫が好きで、小学3年ぐらいに標本を作りはじめました。
でも中高と虫と関わる機会が少なくなり、その間に昔採った標本は全てカツオブシムシに食われ、見るも無残なというより跡形もない状態でした。

 そんな高校3年の夏のある日、実家にカバマダラが迷蝶として飛んできたことがありました。
一線から退いていたとはいえ、ツマグロヒョウモンとは違う何かを感じ捕獲したのが今の虫屋としての始まり。
ベッドの下に仕舞い込んでいた手作りの標本箱と虫ピン、発泡スチロール製の簡素な展翅板をおもむろに取り出し、僕は手順を思い出しながら何年振りだろうという展翅をしました。

 それからも2匹ほど飛んできて、どの個体も完品だったことからどこかで発生しているに違いないと素人ながらに思ったのです。
何を食べるのだろうと調べた結果、食草のトウワタが庭に植えられていることを知りました。
3匹も飛んできたのだからきっと卵か幼虫がいるはずだと思い、庭に生えているトウワタの葉の裏を全て見て回りました。
そうするとやはり幼虫が何匹か付いており、今度は飼育しようと思い立ちました。

 飼育したことがある人は分かるかも知れませんが、このマダラチョウという仲間恐ろしくよく食べ恐ろしい早さで成長します。
また、ほとんどの種が毒のある植物を食べるため成虫になっても体内に毒が残ります。

 受験生という事を忘れ、蛹になるしばらくの間僕は毎日餌を変え、そしてカバマダラの成長に見入っていました。
最初の1匹が蛹になればあとは早いもので、ほぼ同じ時期に生まれたと思われる彼らはどんどんと蛹になっていきました。

 1週間ほどしたある日、蛹の色が変化し成虫が羽化していました。
これがその内の1匹です。
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通常白紋がでるところが錆びたような色になっています。
これを見た時変異という事も思い浮かびましたが、このような個体がどんどんと羽化してくるためこんなもんなのかと納得してしましました。

 今改めて見てみると変異だと分かりますが、無知というのは恐ろしい物でこれらをしばらく室内で放し飼いにしていました。
羽化する→〆るという発想はまだなく室内に南国の蝶が飛んでいることにただ満足し、楽しんでいました。
もちろん翅はどんどん擦れ、欠け、死ぬころにはそれはもう残念な姿になっていました。
その中でもまだマシだったのが先ほどの標本なのです。

 それから僕は蝶の魅力にはまり、今に至ります。
あの時なぜ完品のカバマダラがいたのか、そんなことは分かりません。
迷蝶として飛んできたのが繁殖したかもしれませんし、誰かが採ってきたものが逃げたかもしれません。
しかし僕が虫を再び始めるには十分に刺激的な出来事で、カバマダラという蝶は非常に思い出深いものとなりました。
たくさんの人や虫に会えるのもカバマダラのお陰かなと思い出しては感謝しています。

今思えばちょっとした雑誌にも投稿できそうな話ですが、もう過去の話。
僕の虫屋としての始まりである思い出話。


わーい、文章ばっかだ。
すいませんw
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by C-314 | 2010-12-22 02:02 | 昆虫